わたしのコロナ体験記 〜入院編〜

記事更新日: 2021/09/23

ライター: えりち

新型コロナウイルスの体験記、今回は「入院編」です。

【前回のあらすじ】

ワクチンを打つ直前に新型コロナウイルスに罹患し、10日間まったく下がらない高熱と諸症状に苦しむ。搬送騒ぎになるも医療が逼迫しているため搬送を断られるが、すんでの所で助けが現れ、地元の発熱外来で点滴とCTだけ受けられることに。

脱水(わりと重い)を起こしており、点滴を受けている間に入院の電話がかかってくる。

▼地獄の自宅療養編はこちら

えりち

自宅療養は薬を飲んで寝ているだけの、 自宅療養という名の「放置」だと思ったし、コロナは自分の治癒力だけではどうにもならなくなる時もあることを体感しました。

本当に命があって良かったと思いました。

▼入院中は軽く説明するとこんな感じで経過

今日は、命からがら入院することが出来たえりちの、入院までの経緯と経過、入院生活の様子などをお伝えしたいと思います。

※あくまでも個人の体験談であり、新型コロナウイルスにおける諸症状や治療、行政の対応について、その効果や内容を必ずしも保証するわけではありません。症状には個人差があります。参考程度にご覧ください。
この記事を書いた人
★コロナ経験者・えりち
ライター&現役占い師。コロナ禍においては完全在宅勤務で生活していたが、2021年8月にコロナ陽性と判明。自宅療養中にどんどん悪化し、中等症に。県内の病院に搬送されることになる。

点滴中、入院が決まり本当に「助かった……」と思った

えりち

正直、泣きました。

点滴を打ってもらい少し楽になりましたが、

それまでのえりちは、38.5〜39.6℃の高熱が常にあり、脱水を起こしてろくに飲み食いも出来ない、下痢も止まらない、体に力が入らずフラフラする…で10日経過、嘔吐が止まらなくなったあたりで「もうだめだ」という体感がありました。

えりち

症状は毎日保健所に電話で伝えていましたが、ヤバいと思った段階でさらに電話をかけて入院エントリーをしておいて良かったと心の底から思いました

「助かった…」と思いました。

▼症状の詳細はこちらの記事です

 

助けを求めることの大切さを実感

えりちは首都圏の郊外(わりと田舎)在住ですが、医療が逼迫しており、救急車を呼んでもコロナ陽性者の場合は「意識がなくなったり、動けなくならないと搬送できません」と断られてしまいました。

ですが、毎朝の保健所の電話以外にも、「なんだかおかしい」と思った段階で再度報告したり、症状が軽快しないと気づいた時点で入院エントリーをしておいたり、我慢せずに助けを求めるようにしました。

えりち

それが直接影響があったかはわかりませんが、命がなくなってからでは遅いので、我慢をせずに助けを求めることは大切だと思います。

私の場合は同居ですが、罹患者の中には1人暮らしの人もいます。

自宅療養が始まったら、保健所はもちろんですが、友達や職場の人に連絡をしておいたり、家族に連絡をしたり、安否確認の報告をして孤立しないように、何かあればすぐ助けを求められるようにしたほうがいいと思います。

えりち

もし寝ながらスマホをいじれるなら、twitterで安否をつぶやいておくのでもいいですし、とにかく「孤独」な状態で療養するのは万が一のことがあった場合危険なので、必ず誰かに連絡を入れておきましょう。

やばいと思ったら即電話!

 

受け入れ先の病棟に到着

高速道路で30分くらいの市町村の病院へ搬送になる

地元の病院で点滴を受けたあと、ひとりで荷物とともに保健所の車に乗せられて、少し遠くの病院へ行くことになりました。

看護師さん

よかったですね!

病院に行ったら投薬治療や点滴などがあるでしょうから、きっとちゃんと治療してもらえますよ。

えりち

うううう……泣

看護師さん本当にありがとう!

点滴を1本打ってもらったら、フラフラ感も少し薄れた感じがありました。

 

病院に到着、採血とCTへ…

えりち

フラフラなところ、結構な量の入院書類を書かされて(正直つらかった)、採血7本取られたあとCTを撮ることになりました。

CTはコロナ患者専用に地下に1つ設備があり、他の患者と接触しないように専用の通路を職員さんの連携プレーで通されて案内されました。

結果、肺炎でした。

えりち

(そりゃ咳と痰が止まらなくて胸が痛いわけだわ…)

自宅療養中、熱以外にも咳と痰も眠れないほどすごく、日が経つにつれて胸痛も起きており、大きく息を吸えなくなっていました。

お医者さん

えりちさんは炎症がかなり起こってますので、肺炎のお薬を飲んで治療しましょう。

あと、脱水を起こしていてご飯も食べられていないので今日から点滴を開始します。

えりち

よ、よろしくお願いします…!

(治療して治してもらえるだけ本当にありがたい…)

命が繋がった、と思った瞬間でした。

 

機械が足りない…!

えりちは中等症 I という診断で、酸素吸入などがすぐに必要というレベルではなかったので結局使いませんでしたが、重症の患者さん向けに使う人工呼吸器等の機械が足りず、万が一急変した時は蘇生することが出来ない、とお話を受けました。(書類も書いた)

▼重症度分類について厚生労働省/新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5.1版

出典URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000801626.pdf

えりち

蘇生できないと聞いて震えました。(母はショックを受けていた)

薬を飲んで点滴して治れば万々歳ですが、急変のリスクもあること、そしてそれだけたくさんの人が人工呼吸器や酸素吸入器が必要で、数が足りないくらい逼迫しているのだと悟りました。

急変のリスクは、自宅療養者も然りです。

とはいえ、入院して誰かの目が常にあり、すぐに処置をしてもらえるという環境に在ることは、非常に心強くありがたいものだと感じました。

これ以上悪化しないことを祈りつつ、入院初日の夜は点滴を3本打ってもらい、体が楽になって夜もすやすやと眠ることが出来ました。

 

気になる病棟の様子(えりちが入院した病院の場合)

病棟の、1フロア(他にもあるのかもしれませんが)をコロナ病棟として入院患者用にあてているようでした。

基本的にエレベーターの前もパーテーションが置いてあり、他の病棟の看護師さんであってもこのフロアに来る時は連絡を入れてから来るようです。

当然、入院患者は、 このフロア以外出歩くことができません。

 

患者と接するナースは決まっている

えりち

点滴など、直接患者さんと接する人は防護服を身に纏っており、対応する人が必ず決まっているようです。

それでもやはり直接接する時間が長いと看護師さんも感染リスクがあるためか、何かあった時はまずナースコールを押すように言われました。

 

病室の様子

病院は窓があけられませんから、空調設備での換気と、はじめて見る病院用?業務用?のパネル型の空気清浄機が常にフル稼働していました。

個室の方もいますが、私は「4人部屋からベッドを2つ間引いた病室」に入院となりました。

えりち

入院当初はその部屋にわたし1人しかいなかったので、イヤホンささずにテレビも見ていいし、消灯は一応22時だけど好きなようにしていいよと言われて、ちょっと個室気分で気楽でした。

 

検温と症状の記入、食事の片付けは自分で

毎日3回、検温と酸素、そして症状の報告を自分自身でおこないます。

ベッド1つ1つに体温計、そして病室の外のテーブルに酸素計と記入用紙が置いてあるので、定時で測って記入しておきます。(あとで看護師さんがすべてチェックする)

えりち

食事は使い捨ての容器で、時間になると外のテーブルの上に置かれます。

食べ終わったら袋に入れて口をしばり、病室の外の蓋つきのゴミ箱に捨てて食事量を記入します。

えりち

このとき味覚・嗅覚障害もあったので、ほとんど味がわからかなかったのが残念でした。

(甘み・塩気をぼんやり感じる程度)

また、容器の特性上、食事が冷めやすく体が冷えるので、早く退院してあたたかいものが食べたいなぁ…と思いました。

 

えりちは入院して3日目から徐々にご飯が食べられるようになっていきました。

入院初日と翌日はお味噌汁だけ飲めましたが、あの時の温かさと「ほっ」とした感じが今でも忘れられないです。

えりち

1〜5日目は毎日点滴して、ご飯が食べられるようになってきたら徐々に点滴の本数が減りました。(多い日は3本)

自宅療養中は食欲もなく「お腹がすく」という感覚も無くなっていましたが、だんだんとお腹もぐ〜っと鳴るようになっていきました。

 

お風呂も入れる!洗濯もできる!

入院2日目、点滴を打ったためか熱が少し下がり、お風呂に入れることになりました。

えりち

自宅療養中はトイレに起きる以外起きられない、という日が続き、実に1週間以上ぶりのお風呂でした。

お風呂と洗濯は、時間が30分〜1時間単位での予約制でしたが、久しぶりにシャワーを浴びることができてすごく生きた心地がしました

 

とはいえ、コロナ病棟は満床なのに、お風呂を予約する人は決まった1〜5人程度、病室の外を歩いていた患者さんを見たのも決まった1〜5人程度だったので、お風呂にも入れないくらい・起きられないくらい重症の方もいらっしゃるんだろうな…とすこし切ない気持ちにもなりました。

 

買い物代行もあった

コロナの入院患者は病棟フロアから出られないので、えりちの入院した病院には買い物代行の制度がありました。

幸いにも品揃えが豊富で、お菓子や洗面用品、口腔ケア用品など、さまざまなものを買うことができます。

えりち

締め切り時刻までに欲しいものを記入して、ナースステーション前のパネルに貼っておくと午後に届くシステムでした。

外に出られないため、非常にありがたい制度だと思いました。

入院中、テレビ以外の娯楽は病室にはないためか、コーヒーやお菓子などの嗜好品がよく売れるそうです。

 

入院から約1週間後に退院許可が出る

ご飯が食べれるようになってきて、脱水や肺炎の症状が治ってきたころ、退院についての具体的なお話を先生から受けました。

コロナ入院患者・ホテル療養者の退院・解除基準(有症状者の場合)は、2021年9月現在、

  • 発症から10日経過
  • かつ症状軽快後72時間経過した場合

(参考:厚生労働省/退院基準・宿泊療養解除基準の改定概要/https://www.mhlw.go.jp/content/000639696.pdf

その他陽性者の基準:https://gemmed.ghc-j.com/?p=34428

となっています。

えりちは自宅療養ですでに10日、入院も1週間近い&症状も軽快してきているため基準を満たすことになり、退院可能となりました。

えりち

もちろん感染対策や療養は継続ですが…シャバに出れることが何よりも嬉しかったです!

 

入院中はこのような感じで経過していきました

えりち

味覚・嗅覚の障害、倦怠感や頭痛、頭のモヤモヤや息切れなどは変わらずありましたが、熱が下がって脱水が治ったのは大変大きかったです。

あとは自宅に戻り、体を休めてゆっくり治していくことになりました。

退院後も、今度は後遺症と闘うことになりますが、それはまた次回「後遺症編」にて書きたいと思います。

 

入院中に感じたこと

入院中に感じたこと
※個人の感想です
  • あって当たり前のことはない!普段の生活は「幸せ」に満ちている
  • 医療を受けられるありがたさ
  • 心配してくれる人がいるありがたさ
  • 陽性者を責めないでほしい
①あって当たり前のことはない!普段の生活は「幸せ」に満ちている

えりち

今回コロナになって、はじめて食べられない・お風呂に入れない・眠れない、という3重苦をいっぺんに味わいました。

今回コロナに罹患し、脱水になったり、酸素が低下して息苦しさを感じる時があったり、正直「あ、これもう死んじゃうかもしれない」と体感した瞬間もあり、生死を脅かされるような経験をしました。

食事・睡眠・入浴・排泄といった「人の生活として当たり前の営み」がまともに出来なくなり、 普段の当たり前の生活ができることがとても幸せなことであること、そしてそれは「当たり前でなくなる瞬間がいつか必ずあるのだ」ということをコロナから学びました。

 

今回は回復したから運が良かったものの、取り返しのつかないことになってしまった人も存在します。

今できている生活が当たり前にできていること、生きていること、食べられること、眠れること…すべてに感謝して生きなければと思いました。

わたしは入院して翌日の、久しぶりに飲めたお味噌汁のあたたかさと、1週間以上ぶりに浴びたシャワーの気持ちよさは二度と忘れられないと思います。

 

②医療を受けられるありがたさ

医療は今現在も逼迫しており、治療を受けたくても受けられない人が存在しています。

えりち

私はたまたま運が良かっただけです。

まだ罹患経験のない人は、万が一罹患したときのために

  • 保健所などの緊急連絡先
  • PCR検査・発熱外来のある病院
  • 自宅療養のシミュレーション(どこの部屋を使って療養するか、食料はどうするのかなど)

を確認しておくといいかもしれません。

今は緊急時でも必ず病院で治療を受けられるわけではない状況ですので、転ばぬ先の杖として、準備は大切だと思います。

また、こんな状況下のなか、昼夜を問わず、患者のために尽力してくださる医療従事者の方に、あらためて心の底から感謝申し上げます。

 

③心配してくれる人がいるありがたさ

今回、私の友人・知人・親戚は、私の罹患で危機感をかなり感じた人もいるようです。

えりち

若いから重症化しにくい、という風に思っていた人もほとんどだったようで、身近な人間が罹患し、悪化し、入院するさまを目の当たりにし、「友達・身内を失うかもしれない」という恐怖を感じたみたいです。

なかには、心配して連絡をくれた人や、お見舞いや食料を送ってくれた人もいて、心配してくれる人がいることのありがたさを感じました。

そして1番は、家族です。

昼夜問わず、安否確認をして看病をしてくれたことが本当にありがたく、精神的な支えとなりました。

心配してくれたみんなのために良くなりたい!という気持ちは、療養中のおおきな活力となっていました。

えりち

病気の症状によっては体調的に返事をするのがしんどい時もありますが、「励ますこと」は人にパワーを確実に与えるんだなと思った出来事でした。

 

④陽性者を責めないでほしい

陽性になると保健所の電話で、感染以前の行動から「どこから感染したか」の可能性を探りますが、感染経路がはっきりしない場合もあるようです。

知人と出かけて2人とも感染してしまったとか、会社の人が陽性者で自分も罹患してしまった、なんて人もいるでしょう。

えりち

コロナは潜伏期間もあるうえ感染者も多いですし、もう今はどこで移るかもよくわからない状況だと思います。

自分がコロナになってしまった、という事実は、個人差はあると思いますがショックと不安が襲ってきます。

そんな人たちに間違っても「お前のせいでコロナにかかった」ですとか、「近寄らないでほしい」など、心ない言葉を浴びせて責めないであげてほしいと思います。

いつ、自分自身が罹患するかわかりませんよ。

 

「明日は我が身」の気持ちでコロナを考えて欲しい

えりち

自分も罹患して思いましたが、マジでコロナは「ひとごと」じゃない!

明日自分がかかってしまったら…ということを1度想像してみてほしいです。

軽症で済めばいいですが、急変して重症化してしまったら…と思うと、どうでしょうか。

大切な誰かを失わないために、誰かの大切なあなたを奪われないために、明日は我が身の気持ちで1度考えてみてくれたら嬉しいです。

 

▼続きの「後遺症編」はこちら

▼自宅療養中の記事はこちら

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