TOP > そんな自分を好きになる 家族ってなんだろ? > メンヘラなるままに、日暮し | 毒親に育てられたいい子の私〈コラム〉2
ゆの
毒親に育てられたあの頃の記憶をたどるコラム『メンヘラなるままに、日暮し』。
ライターゆのが、メンヘラ化する原因をつくった家族の話を少しずつ公開しています。
ゆの
私の家族は、そこそこ特殊だと思う。
アルコール依存症の父、ネグレクトの母、マザコンの兄、裸族の妹。ここに、まだ強烈な親族が絡んでくる。
そりゃもう、メンヘラにもなるわい。
今回はそんな個性豊かな私の元家族の中でも、ダントツに許しがたい祖母の話をする。
ゆの
少しキツイ言葉で書くが、私にとって祖母は未だに許しがたい存在である。ネグレクトした母よりもまだ憎い。
身長170cm、小顔でスタイルがよく「ほんとにBBAかよ(暴言失礼)」と思わずにはいられない風貌をしていた。
洋裁の先生をしていたのでセンスもよく、出かける時にはサングラスとシャネルのルージュを欠かさない。
何度も言うが、「本当にBBAなのか……?(暴言スミマセン)」と疑う。
例えるなら雰囲気は女優の夏木マリさんのようなかんじで、当時祖母がとてもスマートで格好よく、幼心に憧れでもあった。
しかしこの祖母が、まだ幼い私に呪いをかけたのだ。
ゆの
中央公論新社『婦人公論』は大正5年創刊の歴史ある雑誌。
創刊した年には平塚明子や与謝野晶子らも執筆した、女性の人生に真摯に向き合う雑誌だ。
いまなら私も読んで共感できるし、非常に趣深く、面白い。(こういうところで書けるように腕を磨きます)
しかし、当時私はピカピカの小学校1年生。
教科書にはまどみちおの『くまさん』が載っていて、「あさおきて目がさめてくまさんひょこっり……」って音読するような年齢ですよ。
ゆの
まず漢字が読めない。意味がよくわからない。とりあえず写真を眺めて読み終えたことにする。
「ばぁちゃんもう読んだ」
するとですよ。なんと彼女、読んだ感想を求めてくるんですよ。
ゆの
そもそもばぁちゃん知ってる? まだ小学生なんですよ、私。
戦時中、親が死んでから6人の弟を育て上げ、お金を貯めて一軒家を建て、職のない叔父さんの面倒までみて、酒豪で急に脱サラしたじいさん(祖父)の生き方に寄り添い翻弄された祖母。
わかる。いまならわかる。本当に苦労したんだと思う。
でもさ、婦人公論を推薦図書にした理由がさ、
「お前は可愛くない。不器量で愛想だけが取り柄なんだから、せめて勉強だけはできるようになりなさい」
「お前は結婚するな。男がお前のような不細工に寄ってくるのは何かやましいことがあるに決まってるから、せめて賢くなりなさい」
ゆの
ゆの
祖母は、苦労人だった。
ただ、その苦労話(愚痴)をなぜ私が知っているかと言えば、夜中の2時やら3時やらまで、夜な夜な本人から聞かされて育ったからだ。
母が何度も心中しかけたことにようやく単身赴任から戻った父が気がつき、実家に連絡したことで祖母は突如やって来た。
母は隔離され、育児は一旦祖母の手に委ねられたのだが、子供を殺そうとしていた母の姿を「なんか怖い思い出」として封印しようとしていた私に、
「お母さんはお前みんな殺そうとしたから、違う場所に連れて行ったんだよ。
特にお前(私)は可愛くないから最初に殺そうとしたんだよ。
お前は可愛くないから一番最初に殺そうと思ったらしいけど、本当に生きててよかったね」
可愛くないから殺そうとした。
可愛くないから一番最初に殺そうとした。
可愛くないから。
つーか!!何回言うねん!まじで。大事なことだから何回も言いました、みたいな言い方すなやBBA(暴言出ました)。
そう繰り返し言われると、子供はこう思う。
ゆの
正直、母がいなくなったことはあまり覚えていない。
それよりも、祖母が毎日顔を合わせる度に言い放つ「可愛くない」をよく覚えている。
可愛くない子はせめて勉強ができて、愛想がよくて、家の手伝いもしっかりして、世の中のことを知らないといけないのだ。
ゆの
期間にして約半年。呪いにかかるまでは十分だったと思う。
「私は可愛くない。だからせめて愛想だけはよくしなければ価値がない」
「結婚してはいけない。女性は自立すべきであり、私に求婚するような男は皆、搾取しようとしている」
祖母は苦労人だった。そして、苦労を不幸だと思って生きてきた。
その不幸のすべてを孫に当てはめてよかったのか、他の方法はなかったのか。いまもまだ、呪いをかけた祖母を私は許せない。
【メンヘラなるままに、日暮しvol.3~はこちらから▽】
毎日をできるだけ気持ちよく健やかに、そしてスッキリとした気分で過ごしたいけど、まぁこれが本当に難しい。
PMS対策で飲んでる漢方が最近まったく効果なし。不眠症復活。最近1カ月半で体重が5キロ落ちて戻らない。やべーぞ。
趣味は独女とメンヘラの友達との文通。組織に馴染めずフリーランスで仕事しながら、夜な夜な文章を書く生活。