TOP > 家族ってなんだろ? 人間関係の悩み 人生どうにかしたい > 毒親育ちは普通の家庭を知らない | 毒親に育てられたいい子の私〈コラム〉4
ゆの
私の母親は、ネグレクトだった。
彼女の実家はそこそこ裕福だったこと、祖母がなんでも一人でやってしまうスーパーBBAだったこと、母には兄弟姉妹がおらず一人っ子で欲しいものは何でも与えられたこと。
母・明子がいわゆる生粋の”お嬢様”だったことは言うまでもなく、守られて育ったが故に引っ込み思案で人見知りな性格が災いした——としか言いようがない。
単身赴任で留守がちの父親が育児に参加できるはずもなく、子供3人の世話をワンオペで回すのはきつかったのだろう。
キッチンドリンカーになった母は、その後一家心中をしようと子供に刃物を向けた。
ゆの
ここまでが、私の母についてのおさらいだ。
今回は、そんな毒親のもとで育つと「普通の家族(普通の家の子)が当たり前にしていることを目の当たりにしたとき、失禁レベルで驚く」という、エピソードを紹介します(本当に漏らしたりはしてない。多分)
え、ちょっと何言ってるのかわからない……と思う人もいるかもしれませんが、そんなあなたは普通の家庭で愛されて育った大切なチャイルドなので、どうぞ存分に安心してください。
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不思議なことに、あまりまともでない家庭で育つと、”普通の家庭”を見るとどうしていいかわからないし、なんなら泣けてくる。
自分が持っていないもの、本当は欲しかったもの。手を伸ばしても、与えられなかったものがそこにあるから、眩しくて仕方がない。
「どうして私の家は——なぜ——」という疑問と、それを上回る悲しみもある。
母から受けたさまざまな理不尽がフラッシュバックして辛い。
いまもまだ、油断すると泣けることがある。特に友人の結婚式なんかは、違う意味で泣いてしまう。私はこんな風に家族に見守られて祝福されることはもうないと思うと泣ける(友達よ、ごめん)。
ゆの
ゆの
朝ごはんがあることに驚く前に、朝、母親が起きていることにまず驚く。
お母さんは寝てるのがデフォだと思ってたから、普通のお母さんは朝子供よりも早く起きて、朝ごはんをつくって、なんなら洗濯とか掃除とかもして、さらには仕事に行く人もいるんだよ!
私からしたら「………!!!!!!!!?(今世紀最大の衝撃)」ですよ。
中学生になって友達の家に泊まった時(案の定、殴られたけど)その家のお母さんが朝から牛丼をつくっていて本当に目が丸くなった。
「あ、朝から……牛丼だとぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」
ゆの
いやだって。そらそうだろ。
なかには「小学生だったら起こしてくれなくても起きれたりしない?」とか言いそうな人もいますが、私の場合は母親の趣味であるペーパーフラワーづくりのため、深夜2時~3時までうつらうつらしながら家庭内内職をさせられていたんですよ。
そんで、朝8時半くらいまでに支度をして学校に行くって、現代に生きるリーマンでも働き方改革してるのに。
睡眠時間は足りないわ、栄養は足りないわで小学校1年生から低血圧すぎて、むしろよくあんまり休まずに通学してたって褒めてあげたい。
ゆの
「え……ウソだろ?」って思った人、絶対いると思うけど。でもほんとにさ、衛生面で毒親の無頓着さは半端ないんだから。
お風呂とか歯みがきとか、知らないのよ毎日するものだって! 親が教えてくれないから!
小学生の比較的早い段階で、「私だけなんか違う(衛生面で)」って自分で気がついた時には驚愕したとも。
歯科検診で引っかかったり、身体測定の時に保険の先生からシラミがあるって言われて通知が来たりして、そうすると私の親は体裁を気にして病院に連れて行ったりしたけど、病院には「またか」って顔されて。
そういえば、意味もなく何度も病院連れて行かれて、塩対応の看護師の視線が痛かったなぁ。
ゆの
「〇〇ちゃんちは、お母さんが部屋掃除してるの?そうなんだぁ」のレベル。
お母さんって掃除するんですね。部屋がきれいであったことなんてない。
そんで、単身赴任先から久しぶりに帰ってきた父がその状態を見て「あーあー汚いね。一日家にいるのになんでこんなこともできないなんて……明子は汚いのが好きなんだもんな、仕方ないよな」とモラハラ発言をぶちかます。
明子黙る。父の出かける。子供殴られる。負のループ爆誕!
ゆの
ドラマでよく見る家族団らんの風景。「こんなのファンタジー&フィクションですよね」と思ってた。本当に。
あるとき友人宅で、家族みんなが楽しそうに団らんしていて、私は「ぷぷぷ、こんなドラマみたいな家族いるのね、わらわら」と思ってたら、またある友人宅もみんなで楽しそうに笑いあっている風景を目撃してしまった。
「あれ、うちとはなんか違う……というか、うちがよそとはなんか違う!!!!?(今世紀最大の衝撃2)」
そんな真実を知るたびに、心がえぐれていくようだった。
ゆの
私は3人兄妹の真ん中長女なので「兄を敬え、妹に与えろ」と真ん中っこという理由で、親族中からも随分とぞんざいに扱われてきた。
そして何かにつけて、いつも「お前が悪い」と言われる。
その昔々、Sちゃんの家でたくさんご馳走になったことを母に話したことがあった(人の家で何か良くしてもらったら報告義務があった)。
「今度はSちゃんにお返ししないとね」と珍しくそれっぽいことを明子が言ったのを鵜吞みにした私は、後日、Sちゃんと遊んでいた日に「今日はうちでおやつを食べよう」と誘った。
明子に「Sちゃんと一緒にオレンジを食べたいのでむいてほしい」と言った瞬間、「なに言ってんの!」という怒号と共に殴られた。すべては「お前が悪い」らしい。
いま思えば理不尽の程度が、ギャグマンガみたいなレベルだったな(ウケる)
ゆの
残念ながらウチに神はいなかったと思う。そんな経験があったかどうか、物心つく頃のことはあまり覚えていない。
何かやらかすと(怪我したり体調を崩したり)まず大体、理由を問われてその後決まって「お前がバカだから」。
これ、決めセリフでしたよ。何度聞いたことか。そうです、私がバカなので仕方ないんです。
ゆの
「うちはうち、よそはよそ」というマジカルワードを繰り返し聞いていたので、うちがよその家と違うのは、実は貧乏だからだと思い込んでいた。でも、そうではなかった。
すごく裕福というわけではなかったけど、お金はあった。ただ、それを母がすべて浪費していた上に、育児も放棄していただけ。
いまならあの頃の明子の気持ちもわかるかと、ときどきふと考えてみることはあるけれど、なんとなくわかりそうなこともあれば、まったくわからないことも多くて途中で思考するのを諦める。
本当は理解したいとは微塵も思わないけれど、彼女の遺伝子を引き継いでいる自分が間違っても同じ道を歩まないよう、やっぱり折に触れてその黒い記憶の扉を開いている。
ちなみに、私の名誉のために言っておきますが、いまはお風呂にも入るしちゃんと歯も磨いてるし、遅刻もそんなにしていません!(部屋は汚い)。
【メンヘラなるままに、日暮しvol.5~はこちらから▽】